約10分で読めます2026年11月2日に確認
この情報は、いのち支える自殺対策推進センター・浜松市精神保健福祉センター・名古屋市精神保健福祉センターなどの案内をもとにしています。
「整理しなければ」と思う必要はありません
突然家族を亡くすと、葬儀や手続きに追われて、悲しむ余裕もないまま日々が過ぎていきます。このサイトをつくった私も、そうでした。
大切な人を亡くしたときに起こる心や体の反応を「グリーフ(悲嘆)」といいます。自然な反応で、感じ方も、和らいでいくペースも、人それぞれだとされています。
- 泣けなくても、涙が止まらなくても、どちらもおかしくありません
- 「もう前を向かないと」と、自分を急かさずにいましょう
- 家族のなかでも、悲しみ方はひとりひとり違います
家族を亡くしたあとに起こりやすい気持ちと体の変化
自治体や専門機関の資料では、次のような反応が「多くの人に起こりうる自然な反応」として紹介されています。全部があてはまるわけではなく、ほとんど変化を感じない人もいます。
心の反応
- 深い悲しみ、寂しさ、気分の落ち込み
- 亡くなったことが本当だと思えない、現実感がない
- 怒りやいらだち(亡くなった人、周りの人、自分に対して)
- 「自分のせいだ」「あのときこうしていれば」という罪悪感
- 理由もなく不安になる、何もする気が起きない
- ほっとした気持ち。長い看病や介護のあとには、よくあることです。そのあとで自分を責めてしまう人もいますが、否定しなくていい気持ちだとされています
体の反応
- 眠れない、朝早く目が覚める、悪夢を見る
- 食欲がない、または食べすぎてしまう
- 疲れやすい、だるい、頭痛や動悸がする
- 集中できない、物忘れが増える、物事を決められない
行動の変化
- 人に会いたくない、家から出たくない
- 思い出すものを避ける。反対に、思い出の場所に行きたくなる
- じっとしていられず、動き回ってしまう
- 今までできていたことが、おっくうになる
- お酒やたばこの量が増える
どれも、深い悲しみから自分を守ろうとする反応だと説明している資料もあります。
死別のつらさは、いつまで続く?
決まった期間はありません。時間とともに和らいでいく人もいれば、何年たっても変わらないと感じる人、何年かたってから初めて悲しみがやってくる人もいるとされています。
手続きが落ち着いてから、
つらくなることも
葬儀や手続きで忙しいあいだは、気が張っていて平気に感じることがあります。ひと段落して周りが日常に戻った頃に、急に悲しみが押し寄せてくることもあります。遅れてきても、おかしなことではありません。
命日や記念日に、つらさが戻ってくる(記念日反応)
命日、誕生日、結婚記念日など思い出のある日が近づくと、気分が落ち込んだり体調をくずしたりして、亡くなった直後のような状態になることがあります。「記念日反応」「命日反応」と呼ばれます。思い出の品を見たときに起こることもあります。
その日をどう過ごすか、前もって決めておく必要はありません。誰かと過ごす、ひとりで静かに過ごす、どちらでもいいと思います。
悲しみは「順番どおり」には進まない
悲しみは決まった段階を順番に進んでいく、と説明されることがあります。けれど研究では、決まった順番を想定しない考え方や、亡くした悲しみに向き合う時間と、毎日の生活に目を向ける時間を、行ったり来たりしながら過ごすという考え方(二重過程モデル)も示されています。
自死遺族の支援の手引でも、反応が現れる順番や時期は人によってさまざまだとされています。
少し楽になったと思ったら、またつらくなる。それは「後戻り」ではありません。揺れ動きながら過ごしていくのが、ふつうの経過だと考えられています。
突然の死や、自死で亡くしたとき
突然の別れのあとには、「なぜ」「どうして」という問いが頭から離れなかったり、「止められたのでは」「気づいていれば」と自分を責めたりすることがよくあります。亡くなった人に怒りを感じることもあります。
自死の場合は、周りに知られたくない、話しにくいと感じて、ひとりで抱え込んでしまう方も少なくありません。
どうか、ご自身を責めないでください。そう感じてしまうのは、それだけ大切な人だったからです。亡くなった理由を周りにどこまで話すかは、あなたが決めてよいことです。
自死で家族を亡くした方の気持ちと手続きは、自死で家族を亡くしたときにまとめています。
悲しみと付き合うための、小さなヒント
どれも、できそうなものだけで十分です。できない日があるのも当たり前です。
- 休む・食べる・眠るを、いちばんに:まずは体を休めることを優先してください。少しでも口にできるもの、横になれる時間を
- 無理に元気にふるまわない:つらい日に、周りに合わせて明るくすることはありません
- 話せる人に、話せることを:話すことで気持ちが少し落ち着くことがあります。ただ、話してかえってつらくなることもあるので、自分のペースで。そばに誰かがいてくれるだけで十分なときもあります
- 亡くなった人のことを話す・偲ぶ:思い出を話す、好きだった料理を食べる、親しい人と集まって偲ぶなど、形は人それぞれです
- 大きなことは、急いで決めなくていい:死別のあとは、物事を決めにくくなることも反応のひとつとされています。急ぎでないことは、少し落ち着くまで保留にしておけます
- 「悲しむ時間」を自分に許す:泣きたいときに泣いていいし、仕事や家事に打ち込むほうが楽な人もいます。どちらも、その人なりの悲しみ方です
- お酒に頼りすぎない:つらさをまぎらわそうとして飲む量が増えると、体を傷めることがあります。増えている、やめられないと感じたら、早めに相談してください
お子さんがいる場合の伝え方や接し方は、子どもへの伝え方にまとめています。
周りの人の言葉で傷ついたとき
悪意のない、励ましのつもりの言葉で、かえって傷つくことがあります。資料では、たとえば次のような言葉が挙げられています。
- 「元気出してね」「前を向いて」「しっかりしないと」
- 「気持ちの整理はついた?」
- 「あなたより大変な人もいるのよ」
- 「早く物を片付けたら」
傷ついたのは、あなたが弱いからではありません。つらいときは、その人と少し距離を置くことも、自分を守ることにつながります。連絡への返事も、落ち着いてからにできます。
どう接してほしいか、自分の口で伝えるのは大変です。自治体などが周りの人向けのリーフレットを出していることもあるので、それを渡すのもひとつの方法です。
グリーフケアの場:わかちあいの会・遺族会の探し方
同じように大切な人を亡くした人どうしが集まって、思いを語ったり、聞いたりする場があります。「わかちあいの会」「遺族のつどい」「サポートグループ」などと呼ばれます。
公的な探し方
- お住まいの都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターに電話して、「家族を亡くした人が参加できる会や相談はありますか」と聞く
- 市区町村の保健所や保健センターに聞く
- 自治体のホームページで「大切な人を亡くされた方へ」「わかちあいの会」「グリーフ」と検索する
自死で亡くした方のための会のほか、自治体によっては、がんや突然の病気・事故で亡くした方の相談やつどいを行っているところもあります。どこに聞けばいいかわからないときも、精神保健福祉センターで窓口を一緒に考えてもらえることがあります。
対象や申し込み方法は会ごとに違い、変わることもあります。参加する前に、問い合わせ先に確認してください。
専門の窓口に相談したほうがいいとき
「死にたい」「消えてしまいたい」という気持ちがあるときは、ひとりで抱えずに、今すぐ下の窓口に電話してください。命の危険がさしせまっているときは、110番か119番へ。
次のようなときも、早めに相談してみてください。
- 眠れない、食べられないなど、体の不調が長く続いている
- 悲しみが深く、仕事や家事など、ふだんの生活ができない状態が続いている
- お酒の量が増えて、自分で止められない
- ひとりではもう抱えきれないと感じる
強い悲しみが長く続き、生活に大きな支障が出る状態は「遷延性悲嘆症」として、WHO(ICD-11)と米国精神医学会(DSM-5-TR)の診断の分類に加えられています。ただ、多くの人の悲しみは病気ではなく、あてはまるかどうかを自分で判断する必要もありません。つらさが続くときに、相談してみるきっかけにしてください。
相談先
- 精神保健福祉センター:都道府県・政令指定都市にあり、家族を亡くした方の相談を受けているところがあります(予約制・無料のところが多いです)
- かかりつけ医・心療内科・精神科:眠れない、食べられないなど体の不調が続くとき。病院によっては「遺族外来」「グリーフケア外来」もあります
- #いのちSOS:0120-061-338(無料・毎日24時間)
- よりそいホットライン:0120-279-338(無料・24時間)
- いのちの電話:0570-783-556(午前10時〜午後10時・通話料がかかります)。フリーダイヤル 0120-783-556 もありますが、受付日時が限られています
- こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556(通話料がかかります・時間は都道府県によって異なります)
電話がつらいときは、LINEやチャットの窓口もあります。番号や受付時間は変わることがあるので、厚生労働省のサイト「まもろうよ こころ」で最新の情報を確認してください。ほかの相談窓口は、トップページの相談窓口にもまとめています。
カウンセリングを受けたいとき
誰かにゆっくり話を聞いてほしい。気持ちを整理する手伝いがほしい。そう感じたら、カウンセリングという選択肢もあります。「このくらいで相談していいのかな」と迷うときでも、話してみてください。
まずは、無料の公的な窓口へ
- 精神保健福祉センター:都道府県と政令指定都市に置かれている、こころの健康の専門機関です。電話や面接で相談でき、自死遺族の相談やわかちあいの会を行っているところもあります。お住まいの地域のセンターは、厚生労働省の「全国の精神保健福祉センター」の一覧で探せます
- 保健所・保健センター:身近な窓口として、こころの相談を受けています。どこに相談すればいいかわからないときも、聞いてみてください
病院や、カウンセリングの専門機関で受ける
- 心療内科・精神科:眠れない、食べられないなど体の不調もあるときは、まず医療機関へ。診察には健康保険が使えます。病院によっては、心理の専門職によるカウンセリングを受けられるところもあります
- カウンセリングルームなど:病院の外のカウンセリングは、多くが自費です。料金や時間は機関ごとに違うので、申し込む前に確認してください
どこがいいかわからないときは、精神保健福祉センターに「家族を亡くしたことについて話せるところはありますか」と聞いてみると、案内してもらえることがあります。
遺族向けの相談先
- 全国自死遺族総合支援センター(NPO法人):身近な人を自死で亡くした方のための「自死遺族相談ダイヤル」03-3261-4350(木曜・日曜。祝日を除く)があり、メール相談やわかちあいの会も行っています。受付時間は変わることがあるので、公式サイトで確認してください
- 地域のグリーフサポート:自治体によっては、大切な人を亡くした方の相談や講座を行っているところがあります。お住まいの自治体のホームページで「グリーフサポート」「大切な人を亡くした方へ」と検索してみてください
カウンセラーを選ぶときのヒント
- 最初に「死別やグリーフの相談を受けていますか」と聞くこともできます
- 話してみて合わないと感じたら、ほかの人や機関に変えても大丈夫です。遠慮はいりません
- 外に出るのがつらいときは、電話やオンラインで受けられるカウンセリングもあります
- 続けるかどうかは、受けてみてから決められます
自死で家族を亡くした方の相談先は、自死で家族を亡くしたときにもまとめています。
気持ちの整理がつかないとき:よくある質問
家族を亡くして、気持ちの整理がつきません。おかしいでしょうか?
おかしくありません。大切な人を亡くしたあとの心や体の反応(グリーフ)は自然なもので、感じ方もペースも人それぞれです。無理に整理しようとしなくてかまいません。
死別のつらさは、いつまで続きますか?
決まった期間はありません。時間とともに和らぐ人もいれば、何年たっても変わらないと感じる人、しばらくたってから悲しみがやってくる人もいます。命日や誕生日などに、またつらくなること(記念日反応)もあります。
少し元気になったのに、またつらくなりました。悪くなっているのでしょうか?
悲しみは順番どおりに進むものではなく、行ったり来たりしながら過ごしていくものだと考えられています。後戻りではないので、自分を責める理由はありません。
亡くなってほっとした気持ちがあり、自分が許せません。
長い看病や介護のあとなどに、ほっとした気持ちになるのはよくあることだとされています。そのままにしておいてよい気持ちです。苦しいときは、精神保健福祉センターなどの窓口で話してみてください。
どんなときに病院や相談窓口に行けばいいですか?
眠れない・食べられない状態が続く、ふだんの生活ができない、お酒の量が止められない、ひとりで抱えきれないと感じるときは、早めにかかりつけ医や精神保健福祉センターに相談してください。死にたい気持ちがあるときは、すぐに #いのちSOS(0120-061-338)やよりそいホットライン(0120-279-338)などに電話してください。
グリーフカウンセリングは、どこで受けられますか?
まずは、都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターや、保健所・保健センターに相談してみてください。無料で、自死遺族の相談を行っているところもあります。体の不調もあるときは、心療内科や精神科へ(健康保険が使えます)。病院の外のカウンセリングは多くが自費で、料金は機関ごとに違います。最初に「死別の相談を受けていますか」と聞いてかまいませんし、合わなければ変えても大丈夫です。
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あなたの経験が、次に同じ場所に立つ誰かの支えになります。「こうしてよかった」「これを知りたかった」を、ご意見箱から匿名で分けてください。
家族を亡くしてつらいときの相談窓口
突然の別れのあとは、手続きに追われて自分のことが後回しになりがちです。眠れない、何も手につかないと感じたら、ひとりで抱えずに話してください。