約7分で読めます2026年11月2日に確認
この情報は、国民生活センター・杉並区・法務省などの案内をもとにしています。
まず、知っておいてほしいこと
- 遺品整理を始める時期に、決まりはありません。気持ちが追いつくまで待つこともできます
- ただし、借りている部屋の場合は、解約するまで家賃がかかり続けます
- 借金があるかもしれず、相続放棄を考えているときは、整理を始める前に専門家に相談してください
遺品整理はいつから始める?
「いつまでに始めなければならない」という決まりはありません。つらいときは、無理に手をつけなくて大丈夫です。家族の都合に合わせて始めましょう。
急いだほうがいいのは、次のような場合です。
- 賃貸住宅で、家賃がかかり続けている
- 相続放棄をするかどうか、3か月以内に決める必要がある(家庭裁判所への申し立ての期限です)
- 空き家になり、管理が心配
このような場合も、まずは「大事な書類を探す」ことだけ先にすませ、ものの片づけはあとに回せます。四十九日までの流れは四十九日までにやることにまとめています。
片づけを始める前に、探しておくもの
捨ててしまうと、あとの手続きで困るものがあります。最初に、これだけは探して1か所にまとめておきます。
- 遺言書(封がしてあるものは、開けずにそのまま保管します)
- 通帳、キャッシュカード、印鑑
- 保険証券、年金の書類(年金手帳や年金証書など)
- 健康保険証、マイナンバーカード
- 不動産の権利証、賃貸借契約書、ローンや借金の書類
- 公共料金や携帯電話、クレジットカードの請求書
- スマートフォン、パソコン(ネット銀行やネット証券、有料サービスの手がかりになります)
遺言書が見つかったら
自宅で見つかった手書きの遺言書は、家庭裁判所で「検認」という手続きをします。封がしてある遺言書は、自分で開けずに、家庭裁判所で相続人の立ち会いのもとで開ける決まりです。公正証書の遺言や、法務局に預けてあった遺言は、検認はいりません。
スマホやパソコンの中のもの(デジタル遺品)
ネット銀行や電子マネー、動画などの定額サービスは、通帳や郵便が届かず、家族が気づきにくいものです。スマホやパソコンは、パスワードがわからないと家族でも開けないことが多いので、初期化したり処分したりせずに、そのまま保管しておきます。メールや請求書、カードの明細から、契約していたサービスがわかることもあります。
相続放棄を考えているときの注意
故人に借金があるかもしれないときは、相続放棄を考えることがあります。相続放棄は、亡くなったことを知ってから3か月以内に、家庭裁判所に申し立てます。
このとき気をつけたいのが、遺品の扱いです。価値のある遺品を売ったり、処分したり、自分のものにしたりすると、相続を認めた(単純承認した)とみなされ、相続放棄ができなくなるおそれがあります。預金を引き出すことや、故人の借金を払うことも同じです。
- 衣類や日用品などの身の回りのものを整理するだけなら、問題になりにくいとされています
- 形見分けも、価値の低いものを常識的な範囲で分ける程度なら、認められた裁判例があります
- ただし、貴金属や高価な品は、形見分けのつもりでも問題になるおそれがあります
どこまでなら大丈夫かは、ものの価値や状況によって変わります。相続放棄を少しでも考えているときは、整理や形見分けを始める前に、弁護士や司法書士に相談してください。3か月では判断できないときは、家庭裁判所に期間を延ばす申し立てができることもあります。お金のことは葬儀費用が払えないときにもまとめています。
賃貸住宅に住んでいた場合
借りている人が亡くなっても、賃貸借契約はすぐには終わりません。部屋を借りる権利と、部屋に残された家財は、相続人に引き継がれます。そのため、解約や片づけは相続人が進めることになります。
1落ち着いたら管理会社か大家さんに連絡する
亡くなったことと、相続人の連絡先を伝えます。退去の時期は、相談して決められます。
2早めに契約書を確認する
解約するときに何日前までに伝えるか(解約予告)、家賃の払い方、敷金、保証人や保証会社を確認します。解約するまで家賃はかかり続けるので、時期の目安を早めに決めておきます。
3退去までに部屋を片づけて、電気・ガス・水道などを止める
貴重品や書類を先に取り出してから、片づけを進めます。相続放棄を考えている場合は、片づけの前に専門家に相談してください。
4退去のとき立ち会いをして、部屋を返す
部屋の状態を写真に残しておくと、あとで修繕費の話になったときに役立ちます。
5退去のあと敷金の精算をする
敷金は、未払いの家賃などを差し引いた残りが返されます。
原状回復(修繕費)について
借りていた人が負担するのは、不注意などでつけた傷や汚れを直す費用です。ふつうに暮らしていてできる傷みや、年数がたって古くなった分(日焼けなど)は、原則として負担しなくてよいと民法で定められています。
保証人になっている人がいるとき
保証人には、亡くなったことを早めに伝えます。保証人がどこまで支払う責任を負うかは、契約の時期や内容によって違います。
高い修繕費や補償を請求されたら
その場ですぐに払ったり、書類にサインしたりする必要はありません。見積書や、なぜその金額になるのかを書面でもらい、払う前に専門家や相談窓口に相談してください。保証人が請求された場合も同じです。自死で家族を亡くした場合は、自死で家族を亡くしたときに専門の相談先をまとめています。
遺品整理業者に頼むとき
遠くに住んでいる、ものが多い、気持ちがつらいといったときは、業者に頼むのもひとつの方法です。ただ、遺品整理サービスでは「見積もりの2倍の金額を請求された」「残してほしいと頼んだものを捨てられた」「解約したら高いキャンセル料を請求された」などの相談が、国民生活センターに寄せられています。
頼む前に確認したいこと
- できれば2〜3社から見積もりをとって比べる
- 見積書を書面でもらい、作業の内容と料金の内訳を確認する
- 当日に追加料金がかかることがあるか、どんな場合か
- キャンセル料がかかるか、いつからいくらか
- 残すものと処分するものを、作業の前にはっきり分けておく(残すものは別の部屋にまとめる、目印をつけるなど)
- その場でせかされても、すぐに契約しない
「無料で回収します」という業者に注意
家庭から出るごみを回収して運ぶには、市区町村の許可(一般廃棄物の収集運搬の許可)が必要です。「産業廃棄物」や「古物商」の許可だけでは、家庭のごみは運べません。許可のない回収業者に頼むと、あとから高い料金を請求されたり、回収したものを不法投棄されたりすることがあります。業者に頼むときは、ごみの処分をどうするのか(許可のある業者に頼むのか、自治体の収集に出すのか)を聞いておくと安心です。
家族で整理するときのコツ
- 一度に終わらせようとしない:部屋ごと、日ごとに区切って、少しずつ進めます
- 分担を決める:書類を探す人、仕分けをする人、ごみを出す人など、役割を分けると進めやすくなります
- 迷うものは「保留」の箱へ:写真や手紙など思い出の品は、急いで捨てなくてかまいません。気持ちが落ち着いてから決めます
- ごみは自治体のルールで:大きな家具などは粗大ごみとして、市区町村に申し込みます。量が多いときは、先に自治体の窓口に相談します
- ほかの相続人と話しておく:何を残し、何を処分するか、ほかの相続人とも確認しておくと、あとのトラブルを防げます
形見分け
形見分けは、故人が大切にしていたものを、家族や親しい人に分けて受け取ってもらうことです。いつ行うかに決まりはないので、家族で話し合って決めてかまいません。
- 相手が受け取りたいか、先に聞いてから渡すと、相手の負担になりません
- 高価なものは遺産として扱われることがあるので、ほかの相続人と相談してから分けます
- 相続放棄を考えているときは、形見分けの前に専門家に相談してください
困ったときの相談先
- 消費者ホットライン「188」:遺品整理業者や回収業者とのトラブルなど。近くの消費生活センターなどを案内してもらえます
- 法テラス・サポートダイヤル(0570-078374):相続放棄や、賃貸住宅の高額な請求など法律のこと。相談できる窓口を案内してもらえます。平日9時〜21時、土曜9時〜17時
法テラスでは、経済的に余裕のない方を対象に、無料の法律相談も行っています。条件は法テラスに確認してください。
遺品整理と賃貸住宅の退去:よくある質問
遺品整理はいつから始めればいいですか?
決まりはありません。気持ちが落ち着いてから取りかかる人も少なくありません。ただ、賃貸住宅は解約するまで家賃がかかり続けるので、早めに管理会社や大家さんと退去の時期を相談しておくと安心です。片づけの前に、遺言書や通帳、保険証券などの大事な書類だけは探しておきます。
相続放棄をするつもりですが、遺品を片づけてもいいですか?
価値のある遺品を売ったり処分したりすると、相続を認めたとみなされ、相続放棄ができなくなるおそれがあります。衣類や日用品の整理程度なら問題になりにくいとされていますが、判断は状況によって変わります。片づけや形見分けを始める前に、弁護士や司法書士に相談してください。
賃貸住宅の契約は、亡くなったら自動的に終わりますか?
終わりません。部屋を借りる権利と、部屋に残された家財は相続人に引き継がれます。相続人が管理会社や大家さんに連絡して、解約や退去の手続きを進めます。解約するまで家賃はかかるので、契約書で解約の予告期間を確認しておきます。
大家さんから高い修繕費を請求されました。払わないといけませんか?
その場ですぐに払ったり、書類にサインしたりする必要はありません。ふつうに暮らしていてできた傷みや古くなった分は、原則として借りていた側の負担ではありません。見積書や金額の根拠を書面でもらい、払う前に法テラスや弁護士などに相談してください。
遺品整理業者を選ぶときに気をつけることは?
できれば複数の業者から書面で見積もりをとり、作業内容、追加料金がかかる場合、キャンセル料を確認します。残すものは作業前にはっきり分けておきます。家庭のごみを運ぶには市区町村の許可が必要なので、ごみの処分方法も聞いておきます。トラブルになったら消費者ホットライン「188」に相談できます。
故人の冷蔵庫やテレビは、粗大ごみに出せますか?
エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は家電リサイクル法の対象で、ふつうの粗大ごみとは別の方法で処分し、リサイクル料金と収集運搬料金がかかります。処分の方法は市区町村が案内しているので、まず住んでいた地域の窓口に確認してください。「無料で回収します」と巡回する業者など、市区町村の許可のない業者には頼まないよう、環境省が注意を呼びかけています。
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家族を亡くしてつらいときの相談窓口
突然の別れのあとは、手続きに追われて自分のことが後回しになりがちです。眠れない、何も手につかないと感じたら、ひとりで抱えずに話してください。